余市町を舞台にしたNHKの連続テレビ小説「マッサン」の放映が9月29日、始まった。地上波での初放映時間となる8時、舞台となる余市を取材した。
ドラマの中で重要な舞台となるニッカウヰスキー北海道工場余市蒸留所(余市町黒川町7)は平常通り9時開館。ドラマ放送時間中、まだ人けは無く、町中心部も落ち着いた様子。「8時出勤なので、出勤と同時にテレビをつけ、みんなで放送を楽しんだ」と話すのは、放送時間中に営業していたシゲル薬局(大川町3)に勤務する和田かおりさん。「私の父はウイスキーといえばニッカウヰスキーしか飲まない人だったので、放送開始が待ち遠しかった。周りの人も、放送を楽しみにしている。近隣市町村と一緒に、地域経済が盛り上がれば」とも。町中に同ドラマを応援するのぼりが立ち並び、ドラマの盛り上がりと同町の盛り上がりに期待感が感じられる。
同町の人口は約2万1000人。行政区域は東京都世田谷区、大田区、品川区を合わせた面積に相当する140.6平方キロメートルで、その大半が山林と畑地。主要産業となっている農業と漁業のほか、豊かな農産物と海産物に下支えされたウイスキーやワイン、水産加工製品などの食品加工業も歴史がある。岩面刻画で有名な「フゴッペ洞窟」や「旧下ヨイチ運上家」、「旧余市福原漁場」などの史跡のほか、ニシン漁の歴史を物語る「よいち水産博物館」や同町出身の宇宙飛行士毛利衛さんにちなんで設立された「余市宇宙記念館」などの施設があり、近年は観光地としても再注目される。同町では番組の放映決定を受け連続テレビ小説「マッサン」応援推進協議会が発足し、地域経済の振興などへの取り組みが活発化している。
同番組は、大正期にウイスキー製造技術を学びに大阪からスコットランドに渡った亀山政春(玉山鉄二)と、その妻となりスコットランドから日本に渡った亀山エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)の2人を中心に描く物語。広島・大阪での奮闘後、エリーの故郷スコットランドの気候に似た北海道に渡り、ゼロからのウイスキーづくりに挑戦する。
放送時間は、NHK総合=8時~8時15分(再放送=12時45分~13時)、NHK BSプレミアム=7時30分~7時45分(再放送=11時~11時15分)ほか。来年3月28日まで全150回の放送を予定。