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小樽で新規就農「なまらファーム」が開業準備から5年 安心と安全、おいしさを追及

トマトを収穫する渡邊さん

トマトを収穫する渡邊さん

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 「なまらファーム」(小樽市忍路)が今年で開業準備から5年目を迎えた。

収穫期を迎えたビニールハウス内

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 同ファームを運営するのは渡邊充康さん。ビニールハウスでミニトマトのキャロル10を中心にマイクロトマトや食用ホオズキなどを栽培するほか、露地で生食できるカボチャのコリンキーやタマネギ、ヘーゼルナッツなど、さまざまな農作物を栽培。出荷先は地元の農協のほか、独自のルートで市内の飲食店や小売り用に販売している。

 就農以来、農薬不使用で有機肥料を使った農業を行い、試行錯誤を繰り返す渡邊さん。病害対策として、土壌に納豆菌を繁殖させたり、アミノ酸が豊富に含まれるイカや魚かすを肥料として利用したりし、「うま味の豊かな」作物を育てるため、日夜、勉強や研究を重ねている。

 渡邊さんによると、昨年同様、コロナ禍で飲食店向けの出荷量は減っているが、その分、小売り用の需要が増え、全体の出荷量は増えたという。今年の猛暑による影響は大きく、トマトの成長や色づきが早く進み、ビニールハウス内での作業や出荷量の調整に苦労しながら、農業と向き合っている。

 同農場の野菜を仕入れている市内の飲食店「石と鉄 STONE and IRON」オーナーの中源博幸さんは「渡邊さんの作ったトマトはしっかりした果肉と甘味で、パスタやサラダによく合う」と話す。「渡邊さんは真面目な性格で、料理人に近い感覚を持っている人。地元の珍しい野菜を最高の鮮度で届けてくれるのは本当にありがたい」とも。

 渡邊さんは2012(平成24)年に「北海道に憧れがあった」という理由で東京から小樽に移住し、市内の老舗和菓子店で商品開発や催事の企画に携わった。和菓子店で「おいしいものとは何か」を突き詰める中、蘭島の山を開墾したいという男性と知り合い、農機の使い方を教えてもらったり、畑仕事を手伝ったりするうちに、「自分で農業をしてみたい」と思うようになったという。

 2017(平成29)年、農林水産省の青年就農給付金(現在の農業次世代人材投資資金)受給資格を得るため、和菓子店を退社し、市内の農家で研修を開始。研修中も知り合いの農家から畑を借り、研修で学んだことを実践したり、休みの日や農閑期に他地域の農家を訪れ、知見を増やしたりしたという。研修を終えた2019年、開業にこぎ着けた。

 渡邊さんは「非農家が農家を目指すのは難しい。小樽市で青年就農給付金を申請したのは私が最初。申請時、市の担当者もノウハウがなく、一緒に申請に取り組んだのは良い思い出。これからも安心で安全でおいしい野菜作りに取り組んでいきたい」と話す。

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