小樽市指定歴史的建造物の「旧魁陽亭(かいようてい)」(小樽市住吉)の所有会社と小樽商科大学(緑3)が2月26日、無料冊子「旧魁陽亭-北海道を代表する老舗料亭-」を発行した。
同建造物の歴史と邸内に残る遺産を紹介する同冊子。民学共同研究の調査結果をまとめたもので、同建造物の歴史と邸内に残る文化遺産を豊富な資料で紹介する。
冊子では、時代により変遷した屋号ごとに3章構成で紹介するほか、醍醐龍馬さん、駒木定正さん、渡辺一幸さんの3人がそれぞれ、歴史や建築などについての論文を掲載。同建造物の平面図や年表、共同研究記録なども紹介する。概要版として日本語版と英語版も作成した。
旧魁陽亭は創業期から屋号を魁陽亭、開陽亭、海陽亭へと変えた。同共同研究チームによると、創業は安政期(1885年~1890年)とされるが、詳しい資料は確認されていないという。現在の建物は、1896(明治29)年の大火で焼失した後に再建されたもの。1906(明治39)年、日露戦争終結による樺太国境画定委員会議後の祝宴が開催されるなど歴史を刻み、好不況を乗り越え、昭和中期まで政財界や芸能界などの著名人や市民に親しまれた。現在は所有会社と小樽商科大学の共同研究による調査が進められている。
小樽商科大学グローカル戦略推進センターの高野宏康さんは「これまでよく分かっていなかった旧魁陽亭の歴史的実態を明らかにしているのでぜひご一読いただきたい。研究成果が今後の建物の保存と活用にもつながれば」と話す。
A4判、77ページ。冊子は、「小樽百貨UNGA↑(ウンガプラス)」(色内2)、市立小樽図書館(花園5)で各100部を無料配布するほか、公式ホームページでも無料ダウンロード配布している。