小樽市総合博物館(小樽市手宮1)の「注文の多い博物館」と題したポスターが話題になっている。
同館が6月1日の営業再開を受け、マスクの着用や手指のアルコール消毒、ソーシャルディスタンシングなどを来館者に呼び掛けるポスターを作成。東京のカフェ「adito」が「注文の多い飲食店」として新型コロナウイルス感染拡大対策を呼び掛けていたことに着想を得て、同店から使用許諾を受けて作成したポスターは、宮沢賢治の童話「注文の多い料理店」の世界感を表現し、SNSなどを通じて全国的に話題を集めた。
ポスターに描かれている「山猫」を描いたのは、神奈川県在住のイラストレーター「くりさんど」として活躍する女性。札幌生まれ札幌育ちの「くりさんど」さんは北海学園大学1年生の時、同大学芸員課程として小樽市総合博物館で実習を受け、その後もボランティアとして同館で資料整理や企画展の資料集めなどに取り組んでいた。そうした縁もあり、同館の石川直章館長から「山猫」のイラスト作成の依頼を受けた。「注文の多い料理店」の世界感を表現するように、ポスターの枠の外から来館者をのぞき込むような不気味な「山猫」1カットをと発注されたが、「くりさんど」さんは同館での実習とボランティアの経験から、子どもの来館者が非常に多いのでかわいらしい「山猫」がいいのではと、「本館と山猫」「運河館と山猫」「アルコール消毒をする山猫」「バターに見たてた石けんを体に塗りこむ山猫」(未公開)の4カットを制作し館長に提出。うち、3カットのイラストが採用された。
話題になったポスターのイラストを担当した「くりさんど」さんは「普段から小樽市総合博物館のフェイスブック投稿は興味深いものが多く、人気があるとは思っていた。今回はツイッターで多くの人が、『注文の多い博物館』をリツイートしたり話題にしたりしているのを見て驚いた。正直、こんなに『バズっている』ポスターのイラストを自分が提供したという実感はないが、今はこのポスターを多くの人に楽しんでいただき、実際に行って楽しめる博物館が戻って来てくれるように願いたい」と話す。