小樽市総合博物館(小樽市手宮1)で3月24日、市民講座「小樽の銀行こぼれ話」が開かれ、地元の歴史愛好家などが聴講した。
講師は鉄道史や小樽郷土史を専門とするフリーライターの渡辺真吾さん。明治期を中心に成立したさまざまな形態の銀行や疑似「銀行」について講義。現在の銀行のイメージとはかけ離れた黎明(れいめい)期の銀行の姿と金融業界を取り巻く状況などを、当時の新聞記事や写真を使って説明した。
講義では、小樽で最初に設立された銀行「小樽貯蓄銀行」について説明。1895(明治28)年に設立され、1901(明治34)年に解散するまでの経緯を旧大蔵省の法規制や小樽新聞(1894-1942)の記事などで解説。明治後期からの質店による疑似銀行業務への参入や詐欺まがいの銀行の登場など、当時の銀行のずさんな経営実態と小樽金融史の黎明期における混乱した状況を紹介した。
講座に参加した男性は「100年前の金融機関の実態を知ることができ面白かったが、近代史を知る上での新聞の重要性にあらためて気付いた」と話した。
同講座は、博物館ゼミナール「金融の街 小樽」全3回シリーズの最終講座。10日に予定していた第1回は天候不良のため中止となったが、代講に関しては未定。