市立小樽文学館(小樽市色内1)で現在、特別展「朝倉かすみ展」が開かれている。
同展では、小樽出身の作家・朝倉かすみさんの著書とその世界観をパネル写真やイラスト、同文学館が制作した小説に登場する小道具、映像、地図などで表現。朝倉さんのプロフィルや共著を含む書籍36冊を展示する。小樽が舞台の2作品「てらさふ」「ぼくは朝日」を立体的・視覚的に紹介する展示もある。
朝倉さんは1960(昭和35)年、北海道小樽市生まれ。2003(平成15)年に「コマドリさんのこと」で第37回北海道新聞文学賞、2004(平成16)年に「肝、焼ける」で小説現代新人賞を受賞。2005(平成17)年に同作で単行本デビュー。2009(平成21)年に「田村はまだか」で吉川英治文学新人賞を受賞。著書は、「てらさふ」「ぼくは朝日」のほか、「遊佐家の四週間」「乙女の家」「少女奇譚 あたしたちは無敵」「満潮」「平場の月」などがある。
「てらさふ」は、オタモイ中学校という架空の学校に通う2人の女子生徒の物語。展示では、作中に登場するシーンのパネル写真のほか「ノストラダムスの大予言」など主人公の愛読書、同文学館が制作した架空の卒業アルバムや通知表、新聞記事を見ることで、作品の世界観に触れてもらう。
「ぼくは朝日」は、朝倉さんと同年代の主人公「朝日」の物語。1970(昭和45)年初夏の緑・入船地区を中心に話が展開する。展示では、作中に登場する「阪急ブレーブス」の野球帽や縦笛のほか、「朝日」が読んだという想定でマンガ本や雑誌、当時の菓子やおもちゃなどを紹介。作中で「朝日」が歩いていた道を15枚の空撮写真でまとめているほか、「歩いてみた」と題し、「朝日」の目線で同地区を歩く動画を投影する。
開館時間は9時30分~17時(入館は16時30分まで)。入館料は、大人=300円、高校生・市内高齢者=150円、中学生以下無料。期間内の休館日は月曜(8月9日は除く)と7月28日、8月10日・11日。8月15日まで。
併せて8月7日には、同館1階研修室で朝倉かすみ記念講演「極私的日常生活行動地図(小樽編)」を開催。14時開始。参加無料。定員30人。要予約。
新型コロナウイルス感染症対策で、マスクの着用や検温、手指消毒などへの協力を要請している。