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旧寿原邸に薩摩琵琶の調べ 歴史的建造物で再利用の大切さも説く

琵琶演奏の様子

琵琶演奏の様子

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 旧寿原邸(小樽市東雲町)で7月3日、中本尚子さんによる「琵琶演奏と語り」が開催された。主催は小樽民家再生プロジェクト。

旧寿原邸

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 演奏と講演の2部構成となっている同イベント。第1部は「幽餡」として演奏活動をする中本さんによる薩摩琵琶「壇ノ浦の戦い」の演奏。第2部は「私の愛したガラクタ図鑑」と題し、中本さんが副館長を務める「坂会館」や再生利用について講演した。17人が参加した。

 第1部の「壇ノ浦の戦い」は長年にわたる源平合戦のあげくに平家が滅亡を迎えるという内容。中本さんは「世界中がコロナウイルス感染でパンデミックに陥っている日々、コロナ時代に苦しむ人々へ、失うことへの哀悼の意を込めて、演奏しなければ」と同曲を選んだ。

 第2部は、私設資料館「レトロスペース・坂会館」(札幌市西区)副館長として活動する中本さんの視点を通じて講演。小樽市指定歴史的建造物ともなっている旧寿原邸など古民家を利活用し、小樽の街並み保存することを目的とする同プロジェクトと中本さんが展示する「ガラクタ」と呼ばれる、不要とはなったけれども幸いにもゴミとして廃棄されることを免れたものを重ね合わせ、再利用の大切さを説いた。

 中本さんは「レトロスペース・坂会館を訪れるお客さんたちは展示品を見て、『懐かしい』『持っていたけど捨てた』と話す方が大半。その理由はレトロスペースに展示しているものが、私たちが日常で普段あたり前に使用していたが、必要がなくなり捨てられてしまったものが、圧倒的に多くを占めているから」としたうえで、「無関心にされると人は心がすさみ、物はほこりで汚れ、建物は朽ち果ててしまう。現代社会ではあちこちで都市開発が進み、大量生産と大量消費が加速されているが、壊すことや捨てることばかりにエネルギーを費やすのではなく、物をめでる気持ちの余裕がある、世の中になってくれれば」と話す。

 レトロスペース・坂会館は1911(明治44)年創業の坂ビスケットの工場に併設された私設資料館。学術的・芸術的裏付けや鑑定とは一切無縁の懐かしく、不要な資料が展示されている。中本さんの収集した資料が来館者などを中心に話題となり、昨年、「私の愛したガラクタ図鑑」として、小樽文学館(色内1)で企画展が開催された。

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