小樽市が4月9日、北海製罐第3倉庫(小樽市港町)の保存・活用に向けたガバメントクラウドファンディング(GCF)を始めた。
北海製罐小樽工場第3倉庫は、所有者の北海製罐が昨年9月に解体の意向を示した。近年、観光資源や産業遺産として注目される北運河地区を形成する象徴的な建造物でもあり、市民や経済界、有識者らが保全・活用について検討するための時間的猶予を同社に申し入れ、同計画は1年間保留された。
市民らは、保全・活用の方策を見いだすため、「第3倉庫活用ミーティング」を設置し、同倉庫の劣化調査の実施や気運醸成のためのシンポジウムの開催などを計画。アドバイザーとして参加している同市は、その費用の補助として、ガバメントクラウドファンディング(ふるさと納税型クラウドファンディング)により、536万円を目標に寄付金を募る。
同倉庫は各種保税空缶や缶詰類、一般貨物の保管を目的として、1923(大正12)年4月に着工し、翌1924(大正13)年完成。鉄筋コンクリート造地上4階建で敷地面積=約2745.27平方メートル、建坪=1814.87平方メートル、延べ床面積=7259.48平方メートル、建物全長=約100メートル、最大幅=約20メートル、最小幅=約15メートル。小林多喜二の小説「工場細胞」に登場する「H・S工場」のモデルとされる。2012(平成24)年10月19日、旧北海製罐倉庫として、事務所棟、工場、旧第2倉庫と共に小樽市指定歴史的建造物第76号に指定された。
寄付は5,000円からで、返礼品はないが「ふるさと納税」対象事業で、控除上限額内の2,000円を超える部分については、所得税や住民税の還付・控除が受けられる。
プロジェクト締め切りは7月7日。申し込みは、ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」から。問い合わせ先は、小樽市総務部企画政策室企画政策グループ(TEL 0134-32-4111)まで。