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小樽の「朝市食堂」が5周年 活気のある市場内でママさん店主が切り盛り

朝市食堂の外観

朝市食堂の外観

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 「朝市食堂」(小樽市色内3、TEL 0134-24-0668)が10月11日、創業5周年を迎えた。

活気のある市場内の様子

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 小樽の中心部や観光地から外れた地域に位置する常設市場「鱗友(りんゆう)朝市」で朝4時から営業している同店。海鮮丼や焼き魚定食などを提供している。店主の菊池真理子さんは毎朝2時30分に起床し、地元客や観光客を出迎えているという。

 菊池さんが同店を始めたのは2017(平成29)年10月。「のんのん」という店名で30年近く親しまれていた食堂を店名そのままに事業継承した。菊池さんは「早朝からの営業に当たり、朝、小学生の娘を起こすのを義母に任せてしまっているのは寂しく、申し訳なく思う。それでも、スタッフの協力を得て、娘の登校時にはいったん帰宅し、送り出すことができている。夕方までには仕事を終えることができるので、以前よりも家族と過ごす時間も増えた」と話す。

 食堂がもう1店と海産物や青果物を取り扱う小売店10店の計12店が営業する同市場も朝の4時から営業している。市内で最も早く開店する市場として、地元客らが訪れる。菊池さんが食堂で提供する料理は材料の大半を市場内で調達しているという。埼玉出身の菊池さんにとって、活気あふれる市場の人々が話す言葉は早口で聞き取れないこともあるが、温かいぬくもりが感じられ、市場での買い物ややり取りが大好きで、訪れた観光客には「ぜひ、市場内での買い物を楽しんでほしい」と薦めているという。

 事業継承後、「のんのん」の看板のおかげで全国から常連客が訪れ、店の経営は順調だった。1年ほどたった時に、前の経営者が、「のんのん」という店名で新たに喫茶店を開くことになったので、店名を変更する必要が生じ、半年間の猶予を得て、新たな店名での営業を目指した。最初は、新しい店名を考えることが楽しかったが、次第に、慣れ親しまれた「看板」を下げることに不安が募っていった。店名も考えれば考えるほど、懲りすぎた店名やおしゃれな店名ばかり浮かび、なかなか決められなかったという。そんなある日、事情を知る常連客が、「シンプルに『食堂』はどう」と冗談半分で言ったことから、朝市の食堂だから「朝市食堂」にしようと思いついたという。

 令和になって間もない2019年5月8日、新たに「朝市食堂」としてオープン。商号変更による不安は杞憂に終わり、引き続き、売り上げを順調に伸ばしたが、2020年3月ごろから、コロナ禍の影響で客足が減少。稼ぎ時となるゴールデンウイークや夏の繁忙期にも閑古鳥が鳴く状態と度重なる休業要請下で思うように店を開けられない状態が続き、店の経営に不安を覚えたという。

 菊池さんは「休業要請が終わり、不安を抱えながら、約1カ月ぶりに早朝4時に店を開けた時、当たり前のようにお客さんがやって来て、普通に営業できることのありがたさを実感した。大変な時期はもうしばらく続くかもしれないが、多くの人々に支えられているので、これからもこの店を続けようと強く思った」と話す。

 菊池さんは「あっという間に5周年を迎えた。お客さんや市場関係者、家族に対する感謝しかない。道内外の観光客も戻ってきて、海外からの観光客も増えて来たので、これからも地元でとれた魚を使った料理を通じて、小樽の魅力を伝えていきたい」と力を込める。

 営業時間は4時~13時30分。日曜定休。

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